虫歯、そして歯周病治療をふり返って
〜つめ物からブリッジへ、そしてインプラント使用まで 〜
〈はじめに〉
私は六十代前半の年金生活者です。歯の治療をたくさんの歯医者さん達からお世話になり、長い年月が経ちました。自分の歯についてふり返って考えてみる事にしました。
私の歯は、人並(少々小さ目ですが)であり、むしろ丈夫な方かなぁと自負していたのは、二十才の頃まででした。学生医務室で初めて虫歯の治療を受け(記憶は定かではないのですが)、自慢の「虫歯なし」の自分に別れを告げることになったのです。あれから四十余年間、治療の必要な自分の歯とつき合っています。仕事柄、転勤先で、歯医者さん達にお世話になりました。現在私の歯は、もちろん義歯(インプラント)の助けを借りての事ですが、二十才前にもどったような感覚が得られ快適な状態です。ここまでに至る歯とのつきあいについて思い出し、ふり返ってみたいと思います。
〈治療の実際〉
二十才まで
○はじめに述べたように、子供時代は、健康な歯の持ち主で、歯痛の記憶もありません。乳歯から永久歯への生え変わりは、ほとんど自分で抜いていました。数本は、親や近所のおじさんに抜いてもらった事もありました。歯科医に行くこともなく(田舎に住んでいた)、歯みがきも程々にやり、甘い物も少なかったと思います。
二十才以降
○大学生時代(二十才頃)歯医者に診てもらったのが初体験だったと記憶しています。患部を削り、つめ物をしてもらったのでした。
○仕事を始めてからは、時々は、虫歯治療のため通院していました。十五年間は、その状態で過ぎて行きました。
三十五才頃
○転勤に伴い、A歯科医師と出会い、強く印象に残る会話が今でも忘れられません。
A医:「この奥歯は、大きく穴があいてしまい、もう抜くことにしましょう。」
私 :「先生、私は歯を抜きたくないのです。何とか持たせて頂きたいのですが…。」
A医:「このまま抜かないでおくと、将来‘ガン’になる可能性がありますからねえ〜。」
私 :「えっ!やっぱり抜いた方が良いのですか???」
○歯ぐきが癌になる……聞いたことがない。どうしよう!無知な私は、先生の意見に従い歯を抜き、義歯(ブリッジ)を入れ、初めて入れ歯人間の仲間入りをしたのでした。有料の義歯をすすめられました。金歯の半額でプラスチック製(たぶん)でしたが、私にとっては、高価な印象でしたし、不便な入れ歯人生が悲しかったことを覚えています。
この件については、後悔が先にたち、良く考え、他人の意見も聞くべきだったと今でもあの時の決断を疑問に思っています。
四十才頃
○転勤に伴いB歯科医から前歯の矯正治療と虫歯治療を受けました。
のこぎり状に削った前歯と周辺の数本の後に、連結義歯をセメントで固定したのでした。
やっぱり疑問が残りました。正常な歯をのこぎり状に(三角に)削り取って本当に大丈夫かなぁ、私の歯がどんどん消えて行く……最後は総入れ歯が待っているのか?と悲しくなったものでした。
四十三才
○人間ドッグの歯科検診で、大ショックを受けました。なんと、歯槽膿漏→中症と診断されたのです。軽症ではなく、それ以上進行していたのです。全く初耳でした。自覚症状(歯が動くなどの)も気づかず(なかった)恐怖でした。
しかし、歯石除去と歯みがき指導を少々受けただけでB医師からの治療を続けていました。
五十才頃
○転勤に伴いC歯科医で歯槽膿漏の治療を本気で始めることにしました。医者探しがかなり大変でした。
同僚達からの評判を聞き、職場から通院できて、私の疾患にピッタリの所を捜すのは容易ではなかったのです。
歯ぐきチェックの時は、痛みを我慢するのがやっとで、とても不快でかなりひどい状態だったと思われます。ブラッシングやプラークコントロールなど指導、治療が続けられ、通院は苦痛そのものでしたが、徐々に痛みが軽くなり効果がでてきたと思われました。
五十五才頃(入院)
○下肢に重大疾患があり、一年間の入院手術を余儀なくされT病院での入院生活が始まりました。休職しながらの入院で、歯の治療は、十ヶ月ほど中断せざるを得ませんでした。
T病院内の歯科医に出会い、D歯科医から治療を受けることになったのでした。C医師と同様の治療が始まり、チェック時の痛みは、かなり軽くなってきました。歯周病治療には力を入れているとの評判がありましたが、特別な方法を用いるわけではなかったように思います。
○その後T病院を退院したのですが、一日を要する遠路にもかかわらずD歯科医の治療を続けたのでした。外科手術後の経過観察や検査を兼ねての通院でしたので、回数はかなり減りましたが、それでも五年間は続けていたのです。
六十才以降
○平成十四年三月、柿の種を強く噛み突然歯が欠け、ひび割れてしまい、頬の内部が傷つき、食べる事ができなくなったのです。知人の紹介により、近く(T病院より)のささき歯科医院にかけ込み治療を受けました。それが佐々木歯科医師との運命の出会いだったのです。
○佐々木先生は、治療の方法、予防治療の重要性、虫歯菌・歯周病菌のコントロール、口腔衛生、そしてインプラント義歯埋入手術の事などグローバルな視点での歯科治療について説明されたのです。そのお話の大部分は私にとって初耳であり、とても驚かされ、且、希望を持たせられる出来事でした。
○佐々木歯科医師との出会いから十七ヶ月後に、私は、インプラント埋入手術を受けたのでした。歯ぐきに穴を開けて金属をさし込む手術は、手術慣れをしている私にとっては、平気でしたし、麻酔の効き目も良く、痛みは全く感ぜず順調に終わったのでした。
○術後の経過は、ほぼ順調で、時間だけは、ゆっくり経過し、丁寧な治療をして頂き本当に感謝しています。
○ブラッシング指導や細菌チェックなど、その後のメンテナンスも欠かさず、この二年間は、痛まない歯でバリバリ何でも食べることができ、生きている慶びを感ずる毎日です。しかし柿の種みたいな硬い物は、誤って噛んで、インプラント義歯やその周辺部の歯を傷つけないようにと気を付けて食事をしています。大切な私の歯、二十才前の頃の私の歯を手に入れたのですから、本当にこの幸運を長く味わえることを願っています。
〈おわりに〉
四十数年の長い年月、歯の治療を続けたにもかかわらず、私の歯は悪化の一途をたどり、どんどん欠損歯が増えるばかりでした。自分のブラッシングのまずさ、歯が弱い体質だから、年を経たせいで……等々、自分を責め諦めかけていたのでした。しかし、佐々木歯科医師との出会いにより、インプラント義歯の装着ができて、私の考えは変わりました。毎日の歯の手入れは、気が抜けないけれど、歯を(口腔内)良好に保ちながら、長生きし、楽しい食生活を続けたいと思っています。高額な治療費を無駄にしない為にも有意義な人生をと願っています。皆さんに感謝しながら……。
T.K(63才女性)

